アメリカのトランプ大統領ですが、今までの大統領とは違い民主主義を無視した帝王かのような振る舞いが散見されますが、本人の意志とは違い世界中の経済は悪い方向へと向かっているようにも思えます。今後、日本を含む世界の経済は

トランプ政権下での高関税政策や米中対立の激化が短期的には世界経済の成長・貿易を抑制する一方で、デジタル化・サプライチェーン再編・新興国の台頭など構造的変化が並行して進み、中長期的には低成長の定着とリスク回避的な動きが続くと推論されます。日本経済も輸出減少や投資抑制の影響を受け、2025年の実質成長率は0.6%程度にとどまる見通しです。

  1. 世界経済の現状と見通し

1.1 成長率予測のばらつき

  • 国際通貨基金(IMF)は、2025年の世界実質GDP成長率を2.8%、2026年を3.0%に引き下げたと発表しています。
  • OECDは、2025年の世界GDP成長率を3.3%、2026年も3.3%程度で安定すると予測しています。
  • 世界銀行は、2025~26年の世界成長率を2.7%で横這いとなると見込んでおり、「低成長の定着」を警告しています。

1.2 貿易量の落ち込み

  • 世界貿易機関(WTO)は、2025年の世界商品貿易量が0.2%減少すると予測し、近年まれにみる貿易の後退を見込んでいます。
  • WTOは一方で、商業サービス貿易は4.0%の成長に留まる見通しとしており、過去の基準を大きく下回っています。

1.3 主なリスク要因

  • 貿易摩擦の拡大:IMFはトランプ政権の高関税政策による不確実性が投資・消費を抑制していると警告しています。
  • サプライチェーンの混乱:PBSによると、米国が課した最高水準の関税が国際的な部品調達網に混乱をもたらし、企業の業績見通しを下押ししています。
  • デグローバリゼーション:FTは、米中対立と地域分断の進行がグローバル化の後退を招き、成長ポテンシャルを削いでいると指摘しています。
  • 金融市場の不安定化:IMFは、政策誘導的な不確実性が市場のボラティリティを高め、信用コストを引き上げることをリスクとして挙げています。
  1. トランプ政権の関税政策の経済的影響
  • トランプ大統領は中国ほか主要貿易相手国に対して最高25%超の関税を発動し、米国の輸入関税率は過去100年間で最高水準に達しました。
  • CSISの分析では、これら関税措置が中国の企業活動やエネルギー転換にも影響を及ぼし、二国間の投資・技術協力を停滞させています。
  • WTOによると、貿易戦争による手数料負担の増加が、中南米やアフリカ諸国の輸出に収益性低下をもたらし、最貧国ほど大きな打撃を受ける構図です。
  1. 日本経済への影響と見通し
  • IMFは日本の2025年実質GDP成長率を0.6%、消費者物価上昇率を2.4%と予測しています。
  • 貿易摩擦の長期化を受け、IMFは日本銀行がさらなる利上げを先送りし、2027年までマイナス金利解除を見送る可能性を指摘しています。
  • OECDも日本の成長が1%未満にとどまり、輸出依存度の高さから外需環境に左右されやすい構造的課題を抱えると警告しています。
  1. 中長期的な構造変化と推論

4.1 サプライチェーン再編と地域別連携

米中デカップリングの進行に伴い、企業はサプライチェーン多角化を加速させ、ベトナムやインド、メキシコへのシフトが加速する見込みです。

4.2 デジタル化・グリーントランジション

政府・企業投資はAI、IoT、再生可能エネルギー分野に集中し、新興国も含めて高付加価値分野への産業再編が進展すると予想されます。

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4.3 新興国の台頭と所得格差

低成長環境下で先進国の賃金停滞が続く一方、東南アジアやインドの中所得層拡大が世界全体の需要構造を変革し、成長重心をシフトさせるでしょう。

  1. リスク要因と政策課題
  • 地政学リスク:米中対立の激化や台湾、南シナ海問題などが不確実性要因を増幅させます。
  • 金融リスク:新興国債務の増大や米国の金利動向が資本フローの乱高下を招く恐れがあります。
  • 気候変動リスク:自然災害リスクの増加が農業・インフラ投資の収益見通しを不安定化させます。
  1. 結論と提言

トランプ政権の関税政策は短期的に世界経済の下押し要因となり、日本を含む多くの国が成長率目標を引き下げざるを得ない状況にあります。一方で、サプライチェーン多角化やデジタル化投資、グリーン・トランジションなど新たな成長エンジンも同時に模索されています。各国は以下の政策を通じてリスク緩和と成長基盤の強化を図る必要があります。

  1. 多国間協調の再構築:悪化した貿易関係をG20やWTO枠組みで早期に緩和し、ルールに基づく貿易秩序を再確立。
  2. 構造改革の推進:規制緩和と労働市場改革により生産性向上を加速。
  3. 技術・環境投資:AI・再エネ分野の公共投資を増強し、中長期的な新産業育成を後押し。
  4. 財政健全化:先進国で高止まりする公的債務の抑制と、緩やかなインフレ環境下での持続可能な歳出配分へ転換。

これらを通じて、短期的逆風を乗り越えつつ、持続的成長の道筋を描くことが喫緊の課題といえます。

Posted by 鬼岩正和