学校での、SNSによるデマ拡散や誹謗中傷が起こっても学校はほとんど対処してくれませんが、このような場合には刑法犯罪ともなり得ると思うので警察に訴える(被害届ではなく告訴)という方法をとることも正しいこと!?

学校でのSNSトラブルに対し、警察への告訴を検討するのは正しい選択肢の一つです。学校には解決能力に限界があるため、法的な手段に訴えることは、問題解決の有効なアプローチとなり得ます。

告訴の法的根拠

SNS上でのデマ拡散や誹謗中傷は、以下のような刑法犯罪に該当する可能性があります。

  • 名誉毀損罪(刑法230条): 公然と事実を摘示し、人の名誉を傷つけた場合に成立します。たとえその事実が真実であっても、罰せられる可能性があります。
  • 侮辱罪(刑法231条): 事実を摘示せずに、公然と人を侮辱した場合に成立します。
  • 偽計業務妨害罪(刑法233条): 説得力のある虚偽の情報で他人を騙し、業務を妨害した場合に成立します。
  • 脅迫罪(刑法222条): 相手に危害を加えることを告げて、恐怖心を抱かせた場合に成立します。

これらの犯罪は、告訴がなければ起訴できない「親告罪」である場合が多いです(名誉毀損罪や侮辱罪など)。そのため、被害者が告訴することが、加害者を法的に罰するための重要な手続きとなります。

学校の限界と警察の役割

学校は教育機関であり、刑事事件の捜査や解決を行う権限はありません。デマや誹謗中傷への対処は、教育的指導や保護者との連携が中心となりますが、これには限界があります。

  • 事実関係の調査能力: 学校には、発信者を特定する技術や権限がありません。
  • 法的強制力: 加害者に対し、投稿の削除や謝罪を強制することはできません。
  • 再発防止: 加害生徒への指導だけでは、問題の根本的な解決に至らない場合も多いです。

一方、警察は犯罪捜査の専門家であり、発信元の特定や加害者の逮捕、事件の立件など、法に基づいた対応が可能です。被害届は被害事実の申告に留まりますが、告訴は加害者の処罰を求める意思表示であり、捜査機関に犯罪捜査を義務付ける効果があります。

告訴を検討すべき状況

以下のような状況では、警察への告訴を真剣に検討すべきです。

  • 学校が問題の解決に動かない、または対処能力を超えている場合
  • 被害が深刻で、精神的苦痛や社会的信用失墜などの実害が生じている場合
  • 加害行為が執拗に繰り返され、学校の指導では収まらない場合
  • 被害者やその家族の安全が脅かされている場合

告訴という選択肢は、被害者が自らの権利を守り、加害行為の重大性を社会に知らしめるための強力な手段です。学校の対応に不満がある場合や、問題が深刻化している場合は、弁護士などの専門家にも相談し、告訴手続きを進めることをお勧めします。

Posted by 鬼岩正和