世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は韓国国内では法的に「宗教法人」として正式に登録・活動を認められている一方で、主要なプロテスタント系教団からは「異端」「カルト」と見なされており、キリスト教正統とは認められていません。

  1. 韓国における法的地位と法人登録

韓国文化体育観光部(MCST)のデータによれば、本部組織にあたる「재단법인 세계평화통일가정연합 유지재단」は正規の再단法人として登録されており、1954年創立以来、継続的に法人格が維持されています。
また、ソウル市に登録された地方法人「세계평화통일가정연합 선교회」も2000年6月26日付で市の許可を受けた再단法人として公示されており、全国各地に支部・教会を合法的に展開しています。
こうした登録は、韓国の「民法」「宗教法人法」に基づく手続きによるもので、行政当局からの解散命令や刑事罰の対象とはなっておらず、少なくとも公的には“違法性”を問われた事例は存在しません。

  1. 国際的・行政的観点での宗教分類

アメリカ国務省の「2019年国際宗教の自由報告書」では、世界平和統一家庭連合(統一教会)の信徒はプロテスタント系キリスト教に分類されており、宗教的アイデンティティとしては「キリスト教団体」の一つと扱われています。
一方で、韓国内の行政文書や司法判断では、他国(日本)における“解散命令”とは異なり、韓国政府からの宗教法人格剥奪や解散命令は一度も出されておらず、法的には正当な宗教法人として認められたままです。

  1. 主流プロテスタント教団による「異端・カルト」認定

3.1 長老派(PCK)の公式声明

韓国最大手の長老派教団・韓国基督教長老会(PCK)は1979年の総会で「世界平和統一家庭連合(当時の世界基督教統一神霊協会)はキリスト教ではない」との公式見解を発表し、以後も「異端(이단)・カルト」と位置付けています。

3.2 エキュメニカル組織(NCCK)のスタンス

韓国キリスト教教会協議会(NCCK)の関係者によれば、「文鮮明総裁による“血統復帰”教理の聖書解釈は聖書の創造説を歪め、自らをメシアと称する点で、正統キリスト教会の対話相手とは見なしていない」と明言されています。

3.3 プロテスタント系有力メディアの論調

『크리스찬투데이』(Christianity Daily)やオンヌリ新聞など、複数のプロテスタント系メディアは「統一家庭連合を『異端・カルト集団』と断じ、信徒や未入信者に対する警戒を呼び掛ける」という論調を継続しています。
また、オンヌリ新聞は「統一家庭連合の組織体質は、教祖の指示に無条件で従う仕組みであり、キリスト教を偽装した企業型カルト」と厳しく批判しています。

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4 現状の整理と結論

  1. 法的には:韓国国内で宗教法人として正式登録され、解散命令や刑罰の対象とはなっていません。
  2. 国際的分類では:米国など一部機関からはプロテスタント系キリスト教団体と見なされています。
  3. 教団内部では:メシア教理や高額献金などを巡り、メインストリームのキリスト教会からは「異端」「カルト」と強く批判・排除されています。

以上より、韓国において世界平和統一家庭連合は「宗教法人」である一方、キリスト教界の主要教団からは正統な教会ではなく「キリスト教を偽装したカルト集団」として扱われております。

Posted by 鬼岩正和