アメリカ大統領がトランプ氏である限り、株式相場や円・ドル相場はどのようになると考えられますか?トランプ大統領の経済政策などを考慮すると突発的かつ予測困難な経済政策の影響で、株式市場および為替市場は非常に不安定な状況が続く

1.株式相場への影響

短期的な急変動とボラティリティの高さ
頻繁な政策転換とサプライズ要素
トランプ大統領は、貿易や関税政策において断続的かつ予測困難なアプローチをとるため、例えば関税の急激な引き上げや、逆に90日間の一時停止といった方針転換が市場に大きなインパクトを与えてきました。実際、報道では一時停止の発表後に株価が急騰(S&P500が9.5%上昇など)したケースもあります。
投資家の期待感と不安の交錯
市場参加者は、トランプ氏の発表に迅速に反応して、急激な上昇局面と急落局面を繰り返す傾向があります。これらの動きは、トランプ氏の「交渉カード」としての関税政策の使い方に端を発しており、その都度市場は「リスク・オン・リスク・オフ」の動きを示すため、今後もボラティリティが高い状況が続くと予想されます。

長期的視点での不透明感
企業収益や投資環境の不確実性
貿易摩擦の激化やサプライチェーン再編によるコスト上昇、さらには規制緩和や保護政策の方向性が明確にならないことが企業収益に影響を及ぼし、結果として株式評価に不安要素が残ります。トランプ氏の政策が今後も行き過ぎた保護主義(またはその後の急変)を招く限り、投資家は一層慎重になると考えられ、成熟市場での過熱期待も長続きしにくいでしょう。

2.円・ドル相場への影響

ドルの変動性
政策発表に伴う急激な動き
トランプ大統領の関税政策やその逆転措置は、しばしばドル相場に急激な変動をもたらしています。たとえば、上乗せ関税の一時停止発表直後には市場がリスク回避姿勢を解いてドルが買われる局面もありました。しかし、同時に米国経済の先行き不透明感が増すと、ドル売りに転じる傾向も見られるため、短期的には非常に乱高下する状況が続く可能性があります。

景気や金融政策との連動
トランプ氏の政策は、米国内の実体経済やFRBの金融政策とも連動してドル水準に影響を与えます。たとえば、輸入コストの上昇や米国経済のリセッション懸念が高まれば、ドルが一時的に弱含む局面もあり得ます。一方で、政治的混乱や国際的なリスクが高まると、世界の投資家はドルを「安全通貨」として買い求める傾向もあります。

円との相対的動向
安全資産としての円の性質
国際情勢が不透明になる局面では、円は引き続き安全資産と見なされ、リスクオフ時に買われる傾向があります。トランプ氏の突発的な政策発表が市場不安を招いた場合、円高局面が見られる可能性がある一方、米国の経済政策が好感されると、円売り・ドル買いが進むため、円・ドル相場は激しいレンジ相場になると予想されます。

市場参加者のリスク感応度
日本経済は対米輸出に大きく依存しているため、米国の政策変更が直接的に円相場にも影響します。トランプ大統領の下で経済政策の不確実性が高い状態が長引けば、投資家は日本市場へのエクスポージャーを調整し、結果的に為替市場でも一時的な円高要因が生じる可能性があります。

結論

トランプ大統領が政権に留まる限り、

  • 株式相場は、トランプ氏の突然の政策変更や交渉手法により極めて高いボラティリティを示し、短期的に急騰・急落を繰り返す環境が続くでしょう。企業収益や投資環境への不透明感も長期的な課題として残るため、成熟市場における過熱感は抑えられる可能性があります。
  • 為替相場では、米国政策のサプライズ要素がドルを乱高下させ、投資家のリスクオフ・リスクオンの動きにより、ドルと円は急激な変動を示すと予想されます。特に、世界経済の不透明感が高まれば一時的な円高、安全資産としてドルが買われればドル高というように、両通貨は極度の変動レンジ内で推移する可能性が高いです。

今後、トランプ大統領の「交渉カード」としての関税政策やその他の経済施策がどのように具体化し、市場がそれにどのように反応するかが、短中期の市場動向を左右する重要な要因となるでしょう。

Posted by 鬼岩正和