宅配便サービスによる事業者負担を減らすため「置き配」を標準化。単純に玄関前などにおいてあれば盗難や、宅配業者が写真だけ写して持ち帰ることも可能であろう。このような事件等についてはどのような対応を考えるのだろうか?
宅配便サービスによる「置き配」の標準化に向けて、国土交通省の有識者検討会が議論を開始しています。事業者負担の軽減や再配達の削減を目指す一方で、ユーザーが懸念する盗難や誤配送といったトラブルへの対策も重要な論点となっています。
置き配をめぐる議論の現状
- 目的: 宅配便の「置き配」を標準サービスとすることで、再配達を減らし、ドライバーの負担軽減や物流業界の人手不足対策につなげることを目的としています。
- 手渡しとの関係: 手渡しを希望する場合に追加料金を設定することも議論されているようです。
- 検討状況: 2025年秋ごろまでに方向性を取りまとめる予定です。
宅配ボックスがない場所での盗難・紛失への対応
宅配ボックスがない環境で「置き配」が標準化された場合、盗難や紛失のリスクが高まるという懸念は、検討会でも当然議論の対象となっています。現在、主に以下のような対策が考えられています。
- 盗難発生時の補償・対応
- 購入元(通販サイト): Amazonなどの一部の通販サイトでは、配達記録や盗難届の提出といった条件を満たすことで、再送や返金といった対応をしてくれる場合があります。
- 運送会社: 運送会社によっては、置き配の荷物が盗まれた場合に補償を行う場合がありますが、基本的には利用者の自己責任とされることが多いようです。しかし、配送会社の指示や手続きに不備があった場合は、配送会社が責任を負うこともあります。
- 保険: 損害保険会社が、置き配による荷物の盗難を補償対象とする「個人用火災総合保険」などの商品を提供しています。盗難届の受理番号の提出を求めるなど、手続きには条件があります。
- 手続き: 盗難が発覚した場合、まずは運送会社に連絡して配達状況を確認し、盗難の可能性が高い場合は警察に被害届を提出することが重要です。
- 盗難を未然に防ぐ対策
- 簡易的な宅配ボックスやバッグ: 玄関先に簡易的な宅配ボックスやワイヤーで固定できる置き配バッグ(OKIPPAなど)を設置することで、盗難のリスクを軽減できます。
- オープン型宅配便ロッカーの利用: 自宅に宅配ボックスがなくても、駅やコンビニなどに設置されているオープン型の宅配便ロッカーを利用する選択肢があります。
- コンビニ受け取り: コンビニでの受け取りサービスを利用すれば、対面での受け取りと同様に安全に荷物を受け取れます。
- 防犯カメラ: 置き配場所を映せる場所に防犯カメラを設置することで、盗難の抑止力や、万が一の際の有力な証拠となります。
宅配業者が写真だけ撮って持ち帰る事件等への対応
「配達完了」として写真が送られてきたにもかかわらず、実際には荷物が置かれていない、という事案も発生しています。これについても、対策が議論されています。
- 配達完了写真の厳格化: 配達完了時に撮影する写真に、荷物だけでなく、配達場所の特徴的な部分(玄関のドア、表札など)を映し込むことを徹底することで、本当にその場所に荷物が置かれたことを証明する有効な手段となります。
- 位置情報の活用: 配達完了時のGPS情報などを活用し、正確な配達場所を記録することで、配達員の不正を防ぐことができます。
- 配達情報の共有: 荷主、運送会社、受取人の間で、配達状況に関する情報をより詳細に共有できるシステムを構築することも検討されています。
- トラブル対応窓口の整備: こうしたトラブルが発生した場合に、迅速かつ適切に対応できる問い合わせ窓口や補償の仕組みを整備することも重要です。
まとめ
「置き配」の標準化は、物流業界の課題解決に向けて非常に重要な取り組みですが、利用者の利便性と安全性のバランスを取ることが不可欠です。現在、有識者検討会では、盗難や誤配送といったリスクに対して、補償制度の整備、技術的な対策、そしてユーザー自身による対策の促進など、多角的な視点から議論が重ねられています。
今後の議論の進展や、実際に導入されるルール・仕組みによって、これらの懸念がどこまで解消されるかが注目されます。