昨今の詐欺電話ですが、警察を語っての詐欺電話の場合など、警察公式番号へ折り返して電話することによってかなりの詐欺電話を撃退することができると思われますが、なぜそのような対策を推奨しようとは考えないのでしょうか?

確かに「警察を名乗る詐欺電話」に対しては、「正規の警察署の電話番号に折り返して確認する」というのは有効な対策の一つです。しかし、この対策があまり積極的に推奨されていない背景には、いくつかの理由が考えられます。

考えられる理由

  1. 高齢者などにとってはハードルが高い

詐欺電話の主なターゲットは高齢者です。折り返し電話をすること自体に不安を感じる人も多く、電話番号の確認やダイヤルが難しいケースもあります。また、犯人に「今すぐ動かないと逮捕される」などと脅されることで、冷静に確認を取る余裕を奪われがちです。

  1. 犯人が「正規の番号に転送するふり」をする

近年の詐欺手口では、「本当に警察の番号にかけ直している」と信じさせるため、犯人側が電話を切らずに「転送されたように装う」「受話器を置いても回線が切れない」などのテクニックを使うことがあります。これにより「折り返して確認したつもり」が逆に罠になるケースもあります。

  1. 警察の対応リソースの問題

すべての市民が「不審な電話があったら警察署に確認の電話を」と行動した場合、警察の通常業務や110番通報に支障が出る可能性があります。実際に緊急性のある事件との区別が難しくなるおそれがあり、警察としては「電話確認を一律に推奨する」ことに慎重になる傾向があります。

  1. 確実性が低い

仮に本物の警察官だった場合でも、業務上、名前や所属を名乗ることが少なく、本人確認の方法が乏しいため、「本物かどうか」を一般市民が判別するのは困難です。警察署に確認したとしても、「そのような者が在籍しているかどうかは答えられない」と言われる場合もあります。

created by Rinker
レッツ・コーポレーション(Let's Corporation)
¥10,780 (2025/07/07 05:13:56時点 Amazon調べ-詳細)

現在推奨されている対策(警察・自治体)

  • 知らない番号からの電話は出ない、折り返さない
  • 「警察」「銀行」などを名乗る電話は一旦切って、家族や実在の機関に相談する
  • 自動録音装置や迷惑電話防止機能付き電話の導入
  • 家族との「合言葉」を決めておく(なりすまし対策)

結論

「警察署に折り返す」は、理論的には有効な対策ですが、実際の詐欺現場ではそれを阻止する巧妙な手口が使われているため、すべての人に安全かつ有効とは言いがたいのが現状です。
そのため、現在のところは「そもそも電話に出ない」「一度電話を切って、信頼できる家族や機関に相談する」といった対策の方が広く推奨されています。

Posted by 鬼岩正和