昔の日本は「村社会」として機能していて、様々な団体が機能的に融合していたように感じますが、現在は青年団もほとんどなく自治会も加入率がかなり低くなっているようですが、民間団体が活動していくのは難しいのでしょうか?

かつての日本社会、特に農村部では「村社会」として、青年団・婦人会・消防団・自治会・農協・PTAなどが密接に連携し、地域内で生活・文化・安全を自律的に支えるシステムが機能していました。鬼岩正和氏の『とうじ物語』のような世界観は、そのような背景の中に成立していたものです。

しかし、現代においてそのような民間団体が機能しづらくなっている背景には、以下のような社会的・構造的な要因があります。

現代で民間団体が難しい主な理由

  1. 都市化・人口流動性の増大
  • 都市では「地元」意識や帰属感が薄れやすく、地域活動への参加動機が乏しい。
  • 転勤・移動・単身赴任など、地縁的なつながりが築きにくいライフスタイルが一般化。
  1. 共働き・労働時間の増加
  • 昔は農閑期などを活用して地域活動が可能だったが、現代は平日夜や休日でも仕事や子育てに追われる世帯が多い。
  • 「時間的余裕がない」という理由でボランティア活動が困難。
  1. プライバシー意識の高まり
  • 「干渉されたくない」「個人主義が尊重されるべき」という価値観の変化により、共同体活動に煩わしさを感じる人が増えた。
  1. 組織の形骸化・強制力への反発
  • 一部の青年団や自治会では、旧態依然とした上下関係や形だけの儀礼、名ばかりの会合などが若者に敬遠されがち。
  • 特に若年層からは「意味がない」「負担が重い」と感じられる場合もある。
  1. インターネット・SNSによる新たなつながりの台頭
  • 物理的な地域共同体に代わり、趣味や志向に基づく「緩やかなつながり(ゆるコミュニティ)」が主流に。
  • オンライン上での「所属感」を優先する人が増加。

それでも民間団体に可能性はあるのか?

結論としては、形を変えれば可能性は十分にあると考えられます。

🔸 1. 強制ではなく「選択できる共同体」へ

  • 参加の自由を尊重し、興味・関心で集まれる「テーマ型地域活動」(例:防災・子育て・スポーツ・古民家再生)などが現代には合っています。

🔸 2. デジタル活用による新しい繋がり方

  • LINEグループやSlack、Zoomなどを活用したオンライン自治会や住民会も一部で実施。
  • デジタルネイティブ世代が参加しやすい工夫があれば再活性化も可能。

🔸 3. 世代間をつなぐプロジェクト型の運営

  • 従来の組織ではなく、「プロジェクトごとに集まって、終わったら解散」する方式の方が、若者世代に合っている。
  • 例:地域映画の制作、防災マップ作成、フードシェアリング活動など。
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鬼岩正和『とうじ物語』のような民間活動は可能か?

はい、可能ではありますが、「昭和の再現」ではなく「現代に適応した形」での再構築が必要です。

  • 昔のような強固な地縁共同体は戻らないかもしれませんが、「共助の仕組みをどう現代にフィットさせるか」が鍵。
  • 特に、地域課題(高齢化、孤立、災害リスク)に関心のある層を巻き込むことがカギとなります。

Posted by 鬼岩正和