地球温暖化は温室効果ガス、とりわけ二酸化炭素がその大きな原因と言われていますが、二酸化炭素の排出量増加を地球温暖化の最大原因ととらえ、二酸化炭素排出量を抑えようとする施策そのものが間違いではないかとも思えるが、事実はどうなのか?

  1. 大気中の二酸化炭素の分布と大気混合
  • 局所的な濃度の問題: 確かに都市部や工業地域では局所的に二酸化炭素濃度が高くなる傾向があります。しかし、大気は非常にダイナミックに混ざり合うため、数か月から1年程度で全地球的な平均濃度として均一化されます。したがって、局所的な高濃度が地球全体の温室効果に与える影響は、最終的には大気全体の平均として反映されるのです。
  1. 二酸化炭素の温室効果と物理的根拠
  • 放射特性: 二酸化炭素は赤外線を吸収・再放射する性質があり、この効果は実験室レベルで精密に確認されています。これにより、地球から放出される赤外線の一部が大気中に捕捉され、地表近くの温度上昇を引き起こすという、基本的な物理法則に基づいています。
  • エネルギーバランスの観点: 大気全体に均一化された二酸化炭素が、地球全体のエネルギーバランス(太陽からの放射と地表からの放射)に影響を及ぼすため、局所的な排出源に起因する偏りだけでは説明できないグローバルな温暖化現象が生じます。
  1. 生物のサイズ変化と温暖化の因果関係
  • 化石記録や生物進化の複雑性: 「地球温暖化により生物が巨大化した」という主張は、過去の環境変動と生物進化の一側面を捉えたものである可能性はありますが、生物の体サイズに影響を与える要因は多岐にわたります。例えば、酸素濃度、栄養供給、捕食者との関係、その他の環境ストレスなどが複合的に作用します。
  • 温度とサイズの関係: 一般には、温度上昇が直接的に生物のサイズ増大を引き起こすという明確な因果関係は示されておらず、逆に「温度-サイズ則」として高温下で体サイズが小さくなる傾向を示す研究も存在します。したがって、単一の指標から温暖化の主要因を否定するのは難しいです。
  1. CO₂排出抑制施策の科学的根拠
  • 複数の証拠と統合的理解: 気候変動の研究は、単に局所的なデータや特定の生物学的現象だけでなく、物理学的実験、衛星観測、長期の気象記録、気候モデル解析など多くの分野からの証拠によって支えられています。これらの総合的なデータは、二酸化炭素が地球規模での温暖化において非常に大きな役割を果たしていることを示しています。
  • 政策の必要性: 仮に一部のデータに疑問が投げかけられたとしても、現代の気候科学では二酸化炭素の増加と温暖化との間に強い相関関係があることが確認されており、またその物理的メカニズムも明確です。そのため、CO₂排出量を削減する施策は、地球全体のエネルギーバランスを健全に保つための重要な対策とされています。
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結論

局所的な二酸化炭素濃度の違いや生物のサイズ変化といったデータは、個々の現象としては興味深いものの、全体的な気候システムや温室効果のメカニズムを否定するものではありません。科学的コンセンサスは、二酸化炭素がグローバルな温暖化の主要因のひとつであるという事実に基づいており、そのための排出抑制策も総合的なエビデンスに裏付けられたものです。もちろん、気候変動の詳細なメカニズムや生物多様性への影響については今後も研究が必要ですが、現時点での対策自体が「間違い」と断じる根拠は乏しいと考えられます。

Posted by 鬼岩正和