【自己責任論を打ち砕く】現代日本の「貧困・格差」の正体!居場所・つながり・役割を奪う“社会的排除”の構造を暴き、「社会包摂」の必要性を提唱する、必読の社会学入門!

なぜ、一生懸命なのに「居場所」を失うのか— 現代社会が抱える“見えない排除”の構造。

「努力すれば報われる」「貧しいのは自己責任」—そんな言葉が社会に蔓延する中で、あなたは「誰でも頑張れば豊かになれる」という言葉に、一抹の違和感を覚えていませんか? 現代日本は、経済的な格差だけでなく、人が人として尊厳を持って生きるために不可欠な「居場所」「つながり」「役割」までもが奪われる、深刻な危機に直面しています。

社会保障研究の第一人者である阿部彩氏の著書『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂』は、この現代日本の冷たい現実を、豊富なデータと鋭い洞察をもって解き明かす、すべての人にとっての「社会学の入門書」です。

本書が焦点を当てるのは、単なる「貧困」(お金や物が少ない状態)ではなく、「社会的排除」という現象です。

社会的排除とは、経済的な困窮がきっかけとなり、地域社会や友人関係、さらには仕事といった「社会の一員としての参加」から切り離されていく構造を指します。例えば、失業が長期化すると、職場という「役割」を失うだけでなく、友人との付き合いも希薄になり「つながり」を失い、やがて社会の周辺へと追いやられ「居場所」を失っていく—これが、現代日本に存在する、弱者を孤立させる冷酷なメカニズムです。

著者は、貧困とは「個人の能力や努力の欠如」ではなく、「社会の構造的な欠陥」が生み出す結果であると指摘します。格差が拡大すると、社会全体の信頼関係が低下し、富裕層でさえ転落への恐怖から自身の地位を守ろうと躍起になり、結果として社会全体が攻撃的で住みにくい場所になってしまうという、恐ろしい連鎖の構図を浮き彫りにします。

そして、この「社会的排除」に対抗するためのキーワードとして提唱されるのが、「社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)」です。

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講談社
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社会的包摂とは、すべての人々が社会から切り離されることなく、「つながり」を持ち、「役割」を果たし、「居場所」を確保できる社会を目指すという、新しい社会保障の考え方です。それは、弱者に施しを与えるだけの慈善ではなく、ユニバーサルデザインの思想のように、社会の基盤そのものを変革することで、誰もが生きやすい「大地」を創造することに他なりません。

この新書は、私たちに「貧困は他人事ではない」「格差は社会全体を蝕む病である」という厳しい現実を突きつけます。同時に、社会構造を理解し、「私たち自身が社会を変えることができる」という希望を与えてくれます。

この一冊を読み終えた時、あなたの社会に対する見方は確実に変わるでしょう。自分たちの社会をより良くするために、今何を理解し、何を選択すべきか。その答えを探るために、ぜひこの「弱者の居場所がない社会」を手にとってください。

Posted by 鬼岩正和