なぜ低い山で遭難が多く発生するのか?!低い山でも遭難することが有りますが、遭難原因にみられる「道迷い」や「病気・疲労」、遭難者の年齢層も40歳以上の人が7割以上を占めているようです。
低い山(低山・里山)でも遭難が多く、特に「道迷い」「転倒」「病気・疲労」が主な原因となり、遭難者の7~8割が40歳以上である理由を、次のポイントで整理します。
1️⃣ 【道迷い】― 登山道が不明瞭でわかりづらい
- 里山には踏み分け道・枝道が多く、登山道が整備されていないことが多い:倒木や崩落などでルートが途切れ、地形や表示が不明瞭になります。
- 人里に近いために不用意にルート外に入りやすく、気づいた時には迷ってしまうという経験談もあります。
- 統計でも「道迷い」が36~41%と最多で、遭難のきっかけになるケースが大多数です。
2️⃣ 【転倒・滑落】― 体力、筋力、注意力の低下
- 警察庁2023–24年統計で、低山でも舗装や木道で転倒が最多:2024年夏期は遭難原因の23%が転倒と報告されています。
- 平衡能力や筋力は加齢とともに低下し、例えば60代では20代の約1/4に平衡感覚が落ちるとされます。
- 軌道が整っていて安全そうでも、大きな段差や足元の不安定さで転倒しやすく、骨折などで動けなくなる事故が多発します。
3️⃣ 【病気・疲労・健康トラブル】― 中高年の体調変化
- 医療的な要因(心臓突然死、低体温症など)は全体の8%前後を占めており、死亡・行方不明者の約70%は60歳以上です。
- ランキングでは「病気:7.1%」「疲労:6.6%」と、道迷いに続く割合で発生しています。
4️⃣ 【中高年層の登山者割合が多い】
- 登山人口全体の中でも中高年(特に50~70代)の比率が高く、それに伴って遭難者にもその年齢層が多く反映されます。
- 40歳以上で全遭難者の78%、死亡・行方不明者では94%を占めています。
- 体力低下や体調変化により、低山の油断が重大な事故につながりやすい背景があります。
🌄 なぜ「低い山」で遭難が多いのか?
要因 | 内容 |
見た目の安全感 | 高さがない=簡単、という誤解から準備不足や甘い装備で出発 |
ルートの整備不足 | 登山地図通りの道とは限らず、道迷いリスクが高まる |
中高年登山者の割合 | 登山者の多くが高齢で、体力・反応力・健康面でのリスク |
気軽さゆえの油断 | 「ハイキング」程度の感覚で臨み、急な体調変化に備えにくい |
✅ 対策のポイント
- 事前準備を徹底する
→ 地図・GPS・登山アプリに頼り、ルート確認を入念に行う。 - 装備と体調管理を怠らない
→ ストック・滑りにくい靴、余裕のある服装や食料、水分・休憩を計画に。 - 異変を感じたら即引き返す勇気を
→ 疲労や違和感を無視せず、安全優先で判断する。 - グループや家族に行動を共有
→ 単独行動を避け、最低でもルートや下山予定を誰かに伝えておく。
📝 まとめ
- 低山は気軽だけに「道迷い」「転倒」「病気・疲労」による遭難が多く、特に中高年がその主体です。
- 安全な登山をするには、低山だからこその準備と慎重な判断が求められます。
- 高低だけではなく「自分の体力・習熟度」「装備・計画」を照らし合わせ、安心・安全な登山を心がけましょう。