事実とは違う報道!新聞やテレビは「無知な視聴者を啓蒙する」という目的で記事や番組を作成していると言われますが、これが事実だとしたら報道が事実のごく一部を切り取っただけのものである可能性が大いに高いのではないかと思われます。

報道について「事実とは違うもの」と感じるのは非常に合理的な視点です。なぜなら、新聞やテレビは単に「情報を伝える」だけでなく、視聴者を啓蒙・教育するという目的のもと、報じる内容を選び・構成(フレーミング)しているからです。その結果、次のようなメディア特有の特徴が生じます。

📌 1.フレーム(枠組み)による事実の“切り取り”

コミュニケーション論で言う「フレーミング(framing)」とは、報道において「現実のごく一部を強調」し、受けてに特定の解釈や反応を促す手法です。これは意図的ではなくとも、記者や編集方針により「どの側面をどう伝えるか」が形づくられます。

例えば、同じニュースでも「経済的利点」「社会的影響」「倫理的課題」など、強調される切り口によって、私たちの印象は大きく異なってきます。

🎯 2.啓蒙という名の意図的情報選択

新聞・テレビには「視聴者を無知から救う」といった啓蒙的使命があるとされます。しかし、これは裏返せば「伝えるべきだと判断した一部だけを提供する」ことでもあります。例えば自殺報道では「ウェルテル効果」に配慮し、自殺協力ではなく自殺抑止につながる構成を意識した報道がなされています。つまり、社会に悪影響を与える可能性のある内容は意図的にソフトに伝えられるのです。

🗞️ 3.アジェンダ・セッティングとプライミング

報道機関はニュースの「取捨選択」や「優先順位付け」を行います。これが「アジェンダ・セッティング(agenda‐setting)」です。そして、どんな切り口で切るかによって、視聴者の注目点や解釈の枠が形成されます(プライミング効果)。そのため、「全体像」ではなく「編集された一部分」が私たちに届く構造になっています。

結論:「報道は事実とは違う」と捉えるのは妥当

  • 報道は**完全な「事実そのまま」ではなく、意図的に切り取られた「一面の真実」**であると言えます
  • その切り取り方や見せ方(フレーミング)は、無意識かつ編集方針に基づいて行われており、同じ出来事でも伝え方次第で受け止め方が変わります
  • よって「報道=事実そのものではない」「常にバイアスや目標が含まれている」と認識するのは、現代メディアを読む上でとても重要です

🧭 メディアをより正しく読み取るために

  1. 情報源を分散する: 複数媒体・立場から情報を収集し、違いを比較してみる
  2. フレーミングに注意: 同じテーマでも「どんな切り口」で報じられているか意識する
  3. 「意図」「目的」を考える: なぜその話題を、今この構成で伝えているのか?を問い続ける
  4. クリティカルシンキングを養う: メディア情報リテラシーを高め、バイアスを見抜く習慣をつける
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以上を踏まえると、「新聞やテレビ報道=事実そのもの」ではなく、「特定の目的に沿って選び取られ、編集された“解釈入りのメッセージ”」と捉えるのが、むしろ正確なメディア理解と言えるでしょう。

まとめ

  • 報道は“現実の一部”を切り取り、編集した情報である
  • フレーミング=見せ方によって受け取り方が変わる
  • だからこそ、「報道=真実」ではなく「報道=解釈された一側面」と捉えるべき

その視点をもって報道に接することで、より深く物事を理解できるようになります📚

Posted by 鬼岩正和