非科学的なことを信じてしまうのはなぜ?!地震の予知は事実上不可能と言われているにもかかわらず、2025年7月に日本で大地震が起こると言われ、香港などからの観光客が激減している。

🔍 1. 根拠ゼロの「2025年7月大地震」予言

  • 漫画家たつき諒氏の著書『私が見た未来 完全版』(2021年)にて「2025年7月5日に大災害が来る」と予告されたことが発端です。
  • 香港の風水師やいわゆる「日本の新ババ・ヴァンガ」なる未来予言者まで、この予言に便乗して「地震が高確率で起きる」と煽り、SNS等で拡散されました。

📉 2. 実際の影響:旅行キャンセル&経済への波及

  • 香港では「7月に日本で大地震が起きる」という噂が広まり、日本行き旅行が延期・キャンセルに。旅行会社では問い合わせの激減も報告されています。
  • 航空会社としてはGreater Bay Airlinesが予約率40%に落ち込み、一部便の運休を決定しましたが、JALやANAでは目立った減少は見られないようです。
  • 観光ブームの足かせに:2025年4月には香港からの訪日旅行者が390万人に達するほど回復基調でしたが、夏に向けて落ち込みが鮮明になっています。

🌐 3. なぜ「非科学的な予言」を信じてしまうのか?

  1. a) 権威の錯覚と物語性
  • 「過去の予言的中」実績が信頼感を生みます。たつき氏の漫画が「2011年地震を的中させた」とされたことで、「今回も信頼できる」と思わせたのです。
  • さらに「風水師」「予言者」という肩書が加わることで、話に重みが感じられやすく、信じたくなる心情が後押しされます。
  1. b) SNSの拡散力と繰り返し効果
  • Twitter/LINEなどで噂がバイラル化し、「たくさんの人が言ってる=信頼」と錯覚してしまう。
  • SNSでは数千~数万にわたるスパム投稿やスレッドが作られ、繰り返し目にするうちに「それが本当」のように感じる心理効果があります。
  1. c) 不安心理・ヒューリスティックの影響
  • 日本は地震頻発国であり、「いつ大きな地震が来てもおかしくない」という漠然とした不安がもとからあります。
  • そこへ具体的な「日付」が予言されると、「備えなくては」という動機につながりやすく、非論理的な判断が助長されます。
  1. d) リスク回避と群集心理
  • 旅行者は「周囲がキャンセルしているから自分も安全策を取ろう」と群集の動きに追随しやすい。
  • 香港現地旅行代理店の声にも「みんながそう言ってるから念のため避ける」「日本好きだけど心配」といった実例がありました。

✅ 4. 科学的現実:地震予知の限界

  • 現状の地震研究では、「数日以内」「場所・規模を特定」する精度での予知はできません。政府の地震調査委員会や内閣府も「科学的根拠のない予言は無視すべき」と明言しています。
  • たとえ予想や警戒する姿勢があっても、それは統計リスク分析(例:南海トラフ地震が今後30年内に80%)であって、「7月5日に地震が起きる」と断言するものではありません。

🔚 結論:なぜ信じてしまうのか

  1. 信じたくなるストーリー性:「的中実績」「肩書」が信頼を醸成
  2. SNSの拡散とエコーチェンバー効果:繰り返しで真実味が増す
  3. 不安・リスク回避の心理:「日本は地震が多いから」という漠然とした怖さ
  4. 群集心理:「みんなやってるから自分も」と同調圧力が強化
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💡 対策:正しい情報リテラシーのために

  • 公式発表の確認が最重要:政府・大学・気象庁などの科学的な見解を優先すること。
  • 根拠なき予言に惑わされない訓練:SNSでの拡散内容を鵜呑みにせず、「出典は何か?」「信頼できる機関か?」を確認するクセを持つ。
  • 旅行判断は防災基準と科学的リスクに基づいて:キャンセルも自由ですが、噂ではなく、事実と数字で判断を。

日本での旅行は引き続き安全です。7月を避けるかどうかは、気持ちの問題かもしれませんが、科学的な根拠がまったくない以上、極端な回避反応は冷静な情報判断からは遠いものです。

Posted by 鬼岩正和