JAPAN MADE『日本製』を求めて。日本が誇る伝統工芸と職人の魂に触れる至高の探訪記。究極の手仕事が生み出す一生ものの名品たち。本物を求める大人に贈る、ものづくりの原点と日本の美意識を再発見する一冊。

画面上の情報だけで満足し、安価な既製品で身の回りを埋めていく。そんな便利さと引き換えに、私たちは何か大切な情緒を置き去りにしてはいないでしょうか。本書を手に取ると、まず伝わってくるのは、日本各地の工房で静かに、けれど力強く燃え続ける「ものづくり」への狂おしいほどの情熱です。北は北海道から南は沖縄まで、その土地の土を捏ね、木を削り、布を織る。そこには、効率という言葉では決して説明できない、数十年、数百年と受け継がれてきた知恵と技が、今この瞬間も息づいています。

この作品の真髄は、製品の完成された美しさだけでなく、完成に至るまでの「祈り」に近い工程を丁寧に掬い上げている点にあります。職人が道具を握る節くれ立った手、工房に漂う厳かな空気、そして素材と対話する真剣な眼差し。それらが美しい写真と情感豊かな筆致で描かれるとき、私たちは一品の道具が単なる「物」ではなく、ひとつの「命」として自分の手元へ届くのだという事実に胸を打たれます。一つの茶碗、一枚の刃物、一反の織物。それらが持つ圧倒的な存在感は、安易な流行に流されない、日本人の精神性の根幹を象徴しているかのようです。

私自身、この本を通じて紹介される日本製の名品たちを見つめているうちに、自分の暮らしをもう一度丁寧に整え直したいという、清々しい衝動に駆られました。良いものを長く使い、繕い、次世代へと受け継いでいく。その行為こそが、自分自身を慈しむことであり、この国の文化を守ることに繋がるのだと教えられた気がします。著者が綴る職人たちの言葉は、不器用で、けれどどこまでも誠実です。「ただ、良いものを作りたい」というその一念が、私たちの乾いた心に、深い安らぎと確かな勇気を与えてくれます。

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ハート出版
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大量生産では決して辿り着けない、微細な歪みに宿る美しさや、使うほどに手に馴染む温もり。それらを知ることは、人生の質を根底から変えてしまうほどの力を持っています。

これは、本質を見極める眼を養いたい人、そして日本の伝統が持つ底知れぬ力を信じたいすべての人に贈られた、魂のガイドブックです。最後の一ページを閉じたとき、あなたの周りにある景色は、少しだけ違って見えているはずです。自分の手元に置くべき「一生もの」との出会いを求めて、今すぐこの本と共に、日本の美を巡る旅へ出かけてみませんか。

Posted by 鬼岩正和