
卒業式の日だった。
桜が舞う校庭で、誰もが未来を語っていた。友人たちは笑い合い、家族は涙を浮かべ、新しい人生への期待が空気を満たしていた。その瞬間、1人の青年が忽然と姿を消した。
名前は暁人。
知性があり、穏やかで、どこか現実から少しだけ遠い場所を見ているような青年だった。だが彼は、卒業証書を受け取った直後、この世界から消えた。
残された友人たちは混乱した。
事故なのか、誘拐なのか、それとも都市伝説のような何かだったのか。SNSでは「あの日、空気が歪んだ」という投稿が拡散され、彼の存在はやがて未解決事件として語られていく。
しかし、本当の物語はそこから始まっていた。
暁人が目を覚ました場所は、炎に焼かれた異世界だった。
赤黒い空。荒れ果てた大地。命を奪い合う戦場。そこでは剣と魔法が支配し、人間は生き残るために戦うしかなかった。大学生だった彼は、突然、命の価値すら軽い地獄へ放り込まれたのだ。
