日本では憲法9条の「戦争放棄」を忠実に守り「永世中立国」となった方が良いという人もいますが、スイスのように永世中立を守り通すのであれば相当の覚悟と軍事力を持つ必要がある!地政学的に日本が非武装であればすぐに占領される!!

「永世中立」を掲げることと、他国からの侵略に対して無抵抗でいることは、根本的に異なる概念です。永世中立を維持するためには、相応の軍事力と国民の防衛意識が不可欠であり、単なる「非武装中立」とは一線を画します。

スイスの「武装中立」の実態

永世中立国として知られるスイスは、1815年のウィーン会議で中立が国際的に承認されましたが、その地位を維持するために強固な防衛体制を整えています。スイス憲法では、民兵によって構成される軍隊の保持(第58条)と、すべてのスイス人男性に兵役義務(第59条)を課しています 。また、スイス軍は現役約2万人、予備役約13万人を擁し、徴兵制を維持しています 。このように、スイスは「中立」を掲げながらも、自国の防衛に万全を期しています。

永世中立と防衛力の関係

永世中立国は、他国間の戦争に介入しないことを義務づけられていますが、自国の防衛や中立侵犯の防止のためには武力行使が認められています 。つまり、永世中立を維持するためには、自国の領土と主権を守るための軍事力が不可欠です。スイスが徴兵制を維持し、軍事力を強化しているのは、まさにこのためです。

日本における永世中立の課題

日本が永世中立を宣言する場合、以下の課題が考えられます:

  1. 防衛力の整備:スイスのように、自国を防衛するための軍事力を保持する必要があります。現行の自衛隊をどのように位置づけ、強化するかが問われます。
  2. 国際的な承認:スイスの中立は国際的な条約で承認されていますが、日本が永世中立を宣言する場合、近隣諸国や国際社会の承認を得る必要があります。特に、地政学的に緊張が高まる東アジアにおいては、容易ではありません。
  3. 国民の防衛意識:徴兵制を含む国民の防衛参加について、社会的な合意形成が必要です。スイスでは徴兵制が国民投票で支持されていますが、日本で同様の制度を導入するには慎重な議論が求められます。

結論

永世中立を維持するためには、強固な防衛力と国民の防衛意識が不可欠です。単に「戦争放棄」を掲げるだけでは、他国からの侵略を防ぐことはできません。スイスの例からも明らかなように、中立を守るためには、自国を守る力と覚悟が必要です。したがって、永世中立を唱えるのであれば、その現実的な側面を理解し、具体的な防衛体制の構築を伴わなければなりません。

Posted by 鬼岩正和