【戦争体験/実話ノンフィクション】 壮絶な満洲からの逃避行──終戦の混乱と極寒の大地を生き抜いた少女の記録。失われた祖国、砕け散る夢、それでも希望を捨てなかった“いのちの証言”!涙が止まらない感動の実話。

1945年、満洲。日本の敗戦が告げられた瞬間、すべての日常が崩れ去った。
『1945 わたしの満洲脱出記 ─ かみかぜよ、何処に』は、終戦直後の混乱の中を少女として生き延びた著者による、魂の記録である。

かつて日本の「夢の新天地」と呼ばれた満洲は、突如として地獄のような戦場に変わった。銃声、火の海、飢え、そして襲いくる恐怖――。
著者は家族とともに逃げ惑いながらも、極寒の荒野を踏みしめ、わずかな食糧と希望を抱いて“祖国日本”を目指す。
その道のりは、数えきれない別れと涙、そして命の選択の連続だった。

本書は単なる戦争体験記ではない。そこには、ひとりの少女の「生きたい」という強烈な意志と、人間としての尊厳を失わずに歩み続けた勇気が描かれている。
満洲での生活の豊かさと幸福が、ある日を境に無残に奪われる――。
それでも著者は、倒れていく仲間の想いを胸に、荒野を越え、鉄道を乗り継ぎ、命をつないでいく。
凍てつく大地で聞こえた「かみかぜよ、何処に」の叫びは、戦争に翻弄されたすべての世代への問いかけでもある。

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本書には、少女の目を通した“戦争の真実”がある。
軍人でも政治家でもない、ひとりの民間人としての視点。
それは「戦争の記録」という枠を超え、読む者の心に深く刻まれる普遍的な人間の物語である。

満洲で生まれ育ち、希望を抱いて生きていた少女が、国の崩壊とともに見たものとは何だったのか。
生き延びたことは奇跡であり、同時に罪悪感でもあった。
しかし、著者は語る。「あの時、確かに生きようとした人々がいた」と。

ページをめくるたび、冷たい風が吹き抜ける。だが、その奥には、たしかな温もりがある。
それは“人が人であること”を守ろうとする心の火。
『1945 わたしの満洲脱出記』は、戦争を知らない世代にこそ読んでほしい、命と平和の尊さを刻む渾身の証言文学である。

あなたはこの本を閉じたとき、きっと静かに祈るだろう。
「二度と同じ悲しみを繰り返さないために」――。

Posted by 鬼岩正和