あなたのSNSは、もう騙されている。フェイクニュース、デマ、陰謀論…すべては「認知戦」だった。ウクライナ侵攻で明らかになった情報戦の最前線から、私たちの日常に潜むサイバー攻撃の全貌を解き明かす、戦慄のノンフィクション。

あなたは、スマートフォンを手に取り、SNSを開いた瞬間から、戦いの最前線に立っていることをご存知でしょうか。その戦場は、銃弾が飛び交う物理的な空間ではなく、私たちの「認知」そのものを標的とした、見えない情報戦――すなわち「認知戦」です。

本書は、ジャーナリストとしての深い洞察と、サイバーセキュリティの専門家による知見を融合させ、現代社会を蝕む「認知戦」の全貌を克明に描き出します。ウクライナ侵攻においてロシアが仕掛けた巧妙な情報操作、トランプ政権の誕生を後押ししたとされるSNS戦略、そして、私たちの身近なところで蔓延するデマや陰謀論。これらすべてが、偶然の出来事ではなく、国家や特定の組織が緻密に設計した「悪意のSNS戦略」であることを明らかにします。

著者が提示する事例は、どれも衝撃的です。例えば、わずか数人の工作員が、SNS上で偽のアカウントを大量に作成し、特定の世論を形成しようとする手法。AIやディープフェイク技術を駆使して、特定の人物の発言を捏造し、社会に混乱をもたらす手口。これらの「認知戦」は、私たちの思考を操り、社会の分断を深めることを目的としています。

しかし、本書の目的は、単に「認知戦」の恐ろしさを訴えることだけではありません。より重要なのは、私たちがこの見えない脅威から身を守るための「リテラシー」を身につけることです。フェイクニュースをどう見破るか? 情報源をどう検証するか? 感情的な反応に流されず、冷静に事実を判断するためには、どのような心構えが必要か? 本書は、具体的な事例を通じて、これらの問いに実践的な答えを与えてくれます。

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また、本書は、私たちが日常的に利用しているSNSプラットフォームが、いかにこの「認知戦」の戦場となっているかを浮き彫りにします。アルゴリズムが、私たちの興味関心に基づいて情報を最適化する一方で、それが「フィルターバブル」を生み出し、異なる意見を持つ人々との対話を困難にしている現実を指摘します。

『認知戦 悪意のSNS戦略』は、現代社会を生きるすべての人にとっての必読書です。政治家やメディアの専門家だけでなく、一市民である私たち一人ひとりが、「認知戦」の存在を理解し、主体的に情報を判断する力を養うこと。それこそが、民主主義を守り、健全な社会を築くための、唯一の道であることを、本書は力強く訴えかけます。

さあ、あなたもこの本を手に、見えない敵との戦いに備えましょう。

Posted by 鬼岩正和