「前後入れ替えOK」な日本語の落とし穴?英語が苦手な理由と言語体系の根本的な違い – 助詞が生む自由度と、外国人とのコミュニケーションにおける誤解 言語の特性に合わせた学習方法を

日本人が英語を話せない人が多いと言われる背景には、様々な要因が考えられますが、その根底には日本語と英語をはじめとする欧州言語や中国語との言語体系の根本的な違いが存在します。特に、日本語における語順の自由さと、それを可能にする助詞の存在は、外国人にとって日本語の理解を難しくするだけでなく、日本人自身が外国語を習得する上での大きな障壁となっていると考えられます。

日本語の大きな特徴の一つは、文の要素の語順が比較的自由であることです。例えば、「私はリンゴを食べた」という文は、「リンゴを私は食べた」「食べた、私はリンゴを」のように、語順を入れ替えても助詞(この場合は「は」と「を」)がそれぞれの語の文法的な役割を示すため、意味が正確に伝わります。この柔軟性は、日本語話者にとって自然であり、文脈やニュアンスを重視する日本語の表現を豊かにしています。

一方、英語をはじめとする多くの欧州言語や中国語は、語順が非常に重要です。例えば、英語の「I ate an apple」は、語順を入れ替えて「Apple ate I」とすると、意味が大きく変わってしまいます。これらの言語では、主語、動詞、目的語の順序が文法的な意味を決定するため、語順の自由度は非常に低いと言えます。

このような言語体系の違いは、日本人が英語を理解したり話したりする際に、様々な困難を生み出します。英語の固定された語順に慣れていない日本語話者は、複雑な文構造や倒置法などが用いられた場合に、文の構造を把握するのに時間がかかったり、誤解を生じさせたりする可能性があります。また、日本語の感覚で単語を並べて英語を話そうとすると、文法的に不自然な英語になってしまい、ネイティブスピーカーに意図した意味が伝わりにくいという問題も起こり得ます。

さらに、日本語のこの特性に慣れている日本人からすると、英語の文構造が非常に論理的で直線的に感じられ、行間を読むような曖昧な表現が少ないため、文化的な背景やニュアンスを理解するのに苦労するという側面もあるかもしれません。

created by Rinker
時事通信社
¥1,980 (2025/06/07 06:06:27時点 Amazon調べ-詳細)

中国語も英語と同様に語順が重要な言語ですが、日本語話者にとっては漢字という共通の要素があるため、英語とはまた異なる種類の難しさがあります。しかし、文法構造においては、やはり日本語の自由度とは対照的な、比較的固定された構造を持っています。

このように、日本語の持つ独特な言語体系、特に助詞によってもたらされる語順の自由さは、日本語を母語とする人々が外国語、特に語順が重要な言語を習得する上で、意識的な努力と慣れが必要となる要因の一つと言えるでしょう。言語間の構造的な違いを理解し、それぞれの言語の特性に合わせた学習方法を取り入れることが、効果的な外国語学習の鍵となります。

Posted by 鬼岩正和