正しくは「〇〇でございます。」というべきところを「〇〇になります。」と間違った使い方をするようになったのはなぜか?媒体側も正しい言葉遣いを意識して放送することが非常に重要です。誤った表現が広まると、一般の言語使用にも悪影響を及ぼす

この誤用が生じる背景には、いくつかの要因が絡んでいます。

  1. 誤用が広まった言語習慣の変化

本来、単に事実や状態を述べる場合は「〇〇でございます」と表現すべきところを、「〇〇になります」と言ってしまう現象は、動詞「なる」が「変化する」という本来の意味から転じて使われるようになった結果とも考えられます。話者が「より丁寧に聞こえる」「柔らかい印象を与えたい」と思い、無意識に変化の意味を持つ表現を使ってしまうことで、正しい使い方(「〇〇でございます」)と混同してしまうのです。

「〇〇になります」と言われると、これから「なる」ものではなく、出来上がったものを持ってきて!などと思ってしまう。

  1. メディアの影響

テレビやラジオなどのメディアでは、決まったフレーズとして「〇〇になります」という表現が多用されています。例えばニュース番組や情報番組で「本日の天気は〇〇になります」といった決まり文句が使われると、視聴者はこれを正しい言葉遣いのモデルとして受け取ってしまいます。結果として、広く一般にこの誤用が定着してしまうという現象が起こります。

  1. 過度な敬語表現へのこだわり

また、敬語や丁寧な表現を過剰に使おうとする傾向も、この誤用を助長しています。たとえ単純な事実を伝える場面でも、より「丁寧」だと感じる表現を選ぼうとして「〇〇になります」としてしまうため、結果として正しい形式である「〇〇でございます」が使われなくなってしまうのです。

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メディアが誤った言葉遣いをそのまま放送することの問題点

  • 言語の標準化への悪影響
    メディアは広範な視聴者に影響を与えるため、誤った表現が正しいと認識されやすくなります。これにより、学校教育や日常の会話においても正確な日本語意識が低下し、言語全体のクオリティが損なわれる恐れがあります。
  • 混乱を招く可能性
    「〇〇になります」という表現は、本来、何かが変化する過程を示すものです。事実そのものを述べるべき場面で使うと、聞き手は「状態が変化しているのか」といった誤解を生じさせる可能性があり、情報伝達の正確さが損なわれます。
  • プロフェッショナルな印象の低下
    報道や公式発表において正しい言葉遣いが求められる中、誤った表現がそのまま使われると、放送局や発信元の信頼性が損なわれ、視聴者や受信者に対してプロフェッショナルな印象を与えにくくなります。

 

以上の理由から、正確な情報伝達と信頼性の維持のためには、媒体側も正しい言葉遣いを意識して放送することが非常に重要です。誤った表現が広まると、一般の言語使用にも悪影響を及ぼし、結果的に日本語の標準や文化に対する理解が希薄になる危険性があります。

Posted by 鬼岩正和